照応解析

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ある言語表現が,後に現れる言語表現と同じ内容や対象をさすとき,これらの表現は照応関係にあるといいます.ここのとき,前者の表現を先行詞,後者の表現を照応表現と言います.

照応表現には,以下のようなものがあります.順に見ていきましょう.

まず,繰り返しは,文字通り,同じ語が繰り返される場合です.上の例ですと,2つ目の「おじいさん」は,1つ目の「おじいさん」を指しています.

代名詞は,「彼」,「彼女」,「彼ら」のような表現です.上の例ですと,「彼」は「太郎」を指しています.

名詞形態指示詞は,名詞の形をした指示詞で,「これ」,「それ」,「そこ」,「あちら」などが該当します.上の例ですと,「それ」は「コンピュータ」を指しています.

連体詞形態指示詞は,連体詞の形をした指示詞で,「この」,「こういう」,「ああいった」などが該当します.上の例ですと,「このシステム」は,「自動翻訳システム」を指しています.

ゼロ代名詞は,聞きなれない言葉ですが,要は省略です.「眠ってしまいました」の主語は省略されていますが,ここでは,表示されない代名詞φがあると考えます.もちろん代名詞φは「おじいさん」を指します.

このように,照応表現には,さまざまなものがあります.

人間は,文章を理解するときや人と話をするとき,これらの照応表現が何を指しているかを把握しながら,文章の内容を理解しています.

この,人間による言語理解の過程を,計算機によって実現するためには,照応表現が何を指しているのかを正確に把握することが不可欠になります.この解析技術のことを,自然言語処理においては,照応解析と呼んでいます.